2014年春に公開された作品「四月は君の嘘」。
実写化された一般人にも知名度のある人気作品です。

かつて様々なピアノのコンクールで優勝を重ね天才的な力量を発揮していた主人公「有馬公正」は、ある日突然ピアノを全く弾けなくなってしまいました。
それは、母親の指導とその後の死、そして何より公正と母親の思いのズレが生んだ悲しい結果でした。

ところがある日破天荒なヴァイオリニスト宮園かをりと公園で二人は出会います。
彼女は相方となるピアニストを探していると公正に告げ、無理矢理彼にピアノを弾くように仕向けます。
しかし、その無理矢理さは今まで逃げていた母親の呪いとも言える公正が怯えていた影との対峙を迫る事と繋がり、その中でピアノに対する情熱を徐々に再び燃やし始めます。
その後、周りに流される形ではあるものの次第にピアノを弾き、コンクールに出場する機会が増え、かつてのライバル達との思いのぶつけ合い等を繰り返し、遂に母親の本当の思いを知る事となります。
公正を楽譜通りのくるいの無いヒューマンメトロノームとして母親が行き過ぎた教育を施していたのは、自分の命が長くないことを知り、公正が一人でも生きていける技術を何としてでも身につけさせようとした、その愛情の末だったのでした。
これも自らがその世界を「規律に従った権威主義の世界」という事をよく理解していたからでしょう。
劇中でもいかに独創性のある、観客を沸かせる演奏を行ったとしても「譜面どおり」の演奏ではないという事で審査員が公正とかをりを批判する場面が何度も描かれています。
そして、母のこの思いに気づいたとき、ついに公正の心に巣くっていた影の存在は消え、鍵盤を叩く際に音が聞こえなくなっていく、まるで海の底へと沈んでいくような現象は無くなりました。

しかし、物語はひとつの不幸を乗り切った主人公「公平」を簡単に逃がしてはくれません。
自らをピアノの道へ引き戻すきっかけをくれたヴァイオリニストのかをりを病魔が襲います。

と、全部描き切るとこれから見る方へのネタばれがすぎるのでここまでにしておきます。

最初から最後まで視聴なさった方はわかるかと思いますが、本当によく泣かせにくる作品です。
それもいやらしい形ではなく、自然に純粋に泣かせにきます。
音楽をしていた人ならわかるであろう、葛藤や苦しみ、緊張や高揚なども非常に伝わりやすい形で描かれています。
陳腐な表現かもしれませんが、音楽・映像・ストーリー・キャラ・演出全てが作品メッセージを伝える物としてしっかりとはまっていたと感じました。

いわゆるアニメや漫画好きの為に作られた作品ではなく、一般の方にも受け入れられやすい作品として仕上がっていました。
個人的には、どこか冷めて凍りついてしまっていた主人公の公正の心に、燃え盛る熱い命の炎の火をともして、その氷を溶かすだけではなく情熱の火をつけて、「命の炎」を与えた・・・預けたとも取れる展開が心へ響きました。

どんな方でも一度は見てほしい作品だと感じました。
この作品はアニメに興味がない方でもドラマとして楽しめるかと思いますので、一般の方から「何かお勧めのアニメない?」と聞かれた際に一度伝えてみるのもいいのではないでしょうか。

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